日本ワクチン学会が示すポイント

この見解では、国内外より、幼少期の BCG ワクチンの接種の有無が各国の患者数や重症者数の多寡に関与しているのではないかという仮説 1が提唱されているとした上で、日本ワクチン学会の見解として、留意すべきポイントを以下のようにまとめている。 http://www.jsvac.jp/pdfs/kenkai.pdf

(1)「新型コロナウイルスによる感染症に対してBCGワクチンが有効ではないか」という仮説は、いまだその真偽が科学的に確認されたものではなく、現時点では否定も肯定も、もちろん推奨もされない。 (2)BCGワクチン接種の効能・効果は「結核予防」であり、新型コロナウイルス感染症の発症および重症化の予防を目的とはしていない。また、主たる対象は乳幼児であり、高齢者への接種に関わる知見は十分とは言えない。 (3)本来の適応と対象に合致しない接種が増大する結果、定期接種としての乳児へのBCGワクチンの安定供給が影響を受ける事態は避けなければならない。

1951年の結核予防法大改正によって法制化されたBCGワクチン

そもそも、BCGワクチンは結核に対する予防として接種されている。国内では、1949年にBCGによる結核予防接種が法制化され、30歳未満の人に毎年ツベルクリン反応検査を行い、BCGによる免疫が確認されなかった場合は繰り返し接種を行うこととされた。 その後、1951年の結核予防法大改正によって凍結乾燥BCGワクチンの接種が法制化され、さらに、何度か制度の改正が行われ、1974年にはBCG接種の定期化により、乳幼児(4歳未満)、小学校1年生、中学校2年生の3回に定期化された。そして、2013年に「接種対象者は生後1歳に達するまで」という現在の接種方法になっている。

結核だけでなく様々な病気に対して効果が見込める

実は、BCGワクチンは結核だけではなく、様々な病気に対して効果が認められており、膀胱ガンでは標準治療としてBCG投与が行われている。また、ハンセン病など他の抗酸菌感染症に対する予防効果も認められている。 ところが、BCGワクチンがどのような形で他の病気に対して効果を現しているのかについては、いまだに解明されていない部分もあるのだ。こうした点からも、BCGワクチンが新型コロナウイルスに対して、どのように効果を発揮しているのかが解明されるのには、時間がかかりそうだ。

BCGワクチンを活用することへの意味

しかし、新型コロナウイルスに対して、いまだ有効なワクチンや治療薬がない以上、「BCGワクチンは新型コロナウイルスに効果がない」と決めつけて、除外するのは如何なものだろうか。 少なくとも、BCGワクチンは長い接種の歴史があり、副作用についてはかなり明らかになっている。その上、結核以外の病気に対しても効果があることがわかってきている。こうした点からは、BCGワクチンを新型コロナウイルスの予防薬として研究を進めていくことも必要だろう。