障害者や素行に問題のある人々の子孫を断絶する

目的の3つ目は、優生思想のもと今後障害者や素行の悪い人々を社会から減らすためには、現時点で障害をもっていたり素行の悪い人々から子孫が生まれないようにするということです。 いわば家畜の品種改良のように、国民を遺伝子から改良して国民全体のレベルを上げていこうとする政策です。ナチス・ドイツをはじめ、当時西欧では受け入れられていた思想です。 当時は「理性的な人々ほど生殖活動に熱心でなく、社会的に望ましくない不良な人々が優良な人々を凌駕して増殖する」とする「逆淘汰論」が流行しており、旧優生保護法の理論的な拠り所とされていたのでした。

旧優生保護法の問題点

(画像:Unsplash

このような背景のもと成立した「旧優生保護法」により、昭和24年から平成8年にかけて約2万5000件の不妊手術が実施されます。内訳は本人同意が約8500件あるものの、それ以外は本人の同意なき不妊手術です。 「旧優生保護法」の問題点は何なのか、考えてみましょう。

人権を無視した優生思想に基づいたもの

日本国憲法では「個人の幸福追求権」が認められています。子供を産み育てるかどうかは、本人もしくは夫婦で決めるべき事柄です。 しかし、優生思想は個体を優秀か劣等かを分類し、劣等な個体には子供を認めないとする思想です。 本人たちが子供を持ちたいと思っても、国家が強制的にその権利を取り上げています。人権侵害にほかならず、極めて危険な思想であるといえます。

本人の意思が反映されない

また、人権侵害が適切な手続きに基づいて行われるのであればまだしも、「旧優生保護法」では本人の同意がなしで優生手術が行うことが可能な仕組みだったのです。 本人の同意がない場合には、都道府県に設置された「優生保護審査会」が優生手術を行うことの適否を決定します。昭和24年から平成8年までの間に、審査会は全国で1万5000件近く決定したという統計があります。 平成に入ってからはほとんどなくなったものの、昭和の終わりまではこのような本人の意思によらない手術が年数件程度全国で行われていました。