「呉越同舟」の本当の意図は?使い方を例文と合わせてわかりやすく解説します!

ビジネス用語

2019年3月13日

「呉越同舟」という言葉をご存知でしょうか。この言葉は孫子に由来しており、現代ではビジネスの場面でも時折使われています。本記事ではこの言葉本当の意図や使い方を例文を使いわかりやすく解説いたします。また、この言葉の由来や英語の表記についても紹介します。

「呉越同舟」の意味は「利害が一致すれば仲のよくないもの同士でも協力すること」

「呉越同舟」の意味は、「利害が一致すれば仲のよくないもの同士でも協力すること」です。 例えば、倒産寸前の企業で働く仲の悪い2人が、業績UPのために手を組んで働くことになる、など、仲たがいしていては結局は互いの不利益になる場合に、共通の目的のために一丸となって協働することを言います。

「呉越同舟」の由来

「呉越同舟」は、中国の古典に由来する故事成語です。 現代に生きる私たちの心をつかむ、鋭く人間の本質をとらえた故事成語。それらは、2千年以上前の中国の古典から数多く生まれています。 ここでは「呉越同舟」の由来を原文の書き下し文にまでさかのぼって詳しく解説します。言葉の由来を知れば、その言葉の持つ、本当の意味、イメージが把握できます。

「呉越同舟」は『孫子』に記されていた

「呉越同舟」は、中国の古典『孫子』に由来しています。 『孫子』は、紀元前500年ごろの中国春秋時代に孫武によって書かれた兵法書です。 『孫子』の著者である孫武は、ある人の質問に答える形で、強い軍を率いるための基本的な考えを語りました。 一言で言えば、軍に一定の危機感、緊張感を持たせて、互いに助け合おうとする姿勢を維持させるということです。 それは、呉と越の人たちの以下の逸話をもとにしたものでした。 時は、中国古代の春秋時代。互いに覇権を争う、呉と越という国は、つねにいがみ合っていました。 あるとき、国境の川の渡しで呉人と越人が同じ舟に乗ることとなり、舟上は不穏な空気となりました。 しかし、突然天候が変わり、強風が舟を襲った。すると呉・越の人たちが強風の中で協力して働き、危機を脱することができました。 孫武は、この逸話をもとに、軍を上手にまとめる摂理を語りました。

「呉越同舟」の書き下し文

「呉越同舟」は、『孫子』の中では、次のように書かれています。 孫武は、上手に軍隊を扱える人物を卒然(そつぜん)という蛇に例えて説明しました。 卒然という蛇は、首を攻めると尾が助けに来て、尾を攻めると首が助けに来るというのです。これに対して、ある人が「軍隊を卒然のように動かすことができるのでしょうか?」とたずねました。 そこで孫武は以下のように答えます。 曰く、「可なり。夫れ呉人と越人とは相悪むや、其の舟を同じくして済るに当たりて風に遇はば、其の相救うや左右の手のごとし」と。 (『孫子』岩波文庫参照) いわく、かなり。それごひととえつひととはあいにくむや、そのふねをおなじくしてわたるにあたりてかぜにあわば、そのあいすくうやさゆうのてのごとし、と。 「できる。そもそも呉人と越人はお互いに憎み合っているが、同じ船に乗り合わせた時に大風が吹いてきたら、そのお互いに助け合う様子は、左右の手のようなものであろう」と。 「呉越同舟」は、この文章から抜き出した熟語です。

「呉越同舟」のビジネスでの使い方と例文

現在のグローバル経済の世界。今日はライバルだった企業同士が、明日には業務提携しなければ、海外の大きな勢力に飲み込まれてしまうといったことも日常茶飯事となっています。 ここでは「呉越同舟」のビジネスでの使い方を紹介します。

「呉越同舟」は「会社の目的のためならば競合とも手を組む」というビジネス戦略

「呉越同舟」は「会社の目的のためならば競合とも手を組む」という、弱肉強食の世界を生き抜くためのビジネス戦略を表現するときに使える言葉です。 いままでライバル関係にあった企業が、さらに強大な企業が現れたことに危機に対応するために手を組む、協力し合う、業務提携する、こんな場合に使う表現となります。 なお、注意すべきは、敵対関係にある二者が偶然出会うだけでは、厳密には「呉越同舟」とは言えない、という事です。 たとえば、ライバル関係にある企業の社長が偶然エレベータで一緒になったという場合。 エレベータが急に止まって、仲の悪い二人が協力して脱出方法を探らなければならなくなったような状況になって、初めて「呉越同舟」と言えるのです。 あまり目くじらを立てることもありませんが、この誤用ポイントは、教養として押さえておきましょう。

「呉越同舟」の例文

さらに理解を深めるために、いくつか例文を紹介します。 ・世界的に開発競争が繰り広げられる自動運転技術。欧米企業の攻勢に対応するため、いままでライバル関係にあった日本と中国の自動車団体が業務提携することになった。まさに「呉越同舟」と言えるものだ。

「呉越同舟」の英語はbitter enemies in the same boat

・bitter enemies in the same boat bitter enemies=仇敵 「親の仇のような憎むべき敵と同じボートに乗り合わせる」ことを意味します。 ただし、この英文は「同舟」ということを意味するだけで、強風の中で「協力する」という、「呉越同舟」が持つ、隠された意味が含まれません。そのため、厳密には「呉越同舟」とは言えないものです。 しかし、その本来の意味だけはしっかり理解した上で、英語で表現するなら、 ・bitter enemies in the same boat であると覚えておきましょう。

まとめ

故事成語は、その由来を知れば、正しい意味や使い方が理解できます。 同時に、その由来に関連する様々な史実や物語に接する機会にもなり、教養の幅が広がっていきます。 よく知っていると思い込んでいる言葉でも、うっかり誤解している、隠された深い意味を知らずにいる、という例も少なくありません。 何においても既知の事と決めつけず、一度振り返って確認することが大切です。


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