米中貿易戦争とは?原因や日本への影響などもまとめて解説します。

経済

2019年6月7日

「米中貿易戦争」が世界的に大きな話題になっています。アメリカや中国だけでなく日本も含めた世界全体の大きな経済リスクだといえます。今回ビジキャリでは急遽(きゅうきょ)この「米中貿易戦争」を取り上げることにしました。これまでの経緯や日本への影響なども解説しますので参考にしてください。

米中貿易戦争

米中貿易戦争とは

「米中貿易戦争」とはアメリカ合衆国(以下、アメリカ)と中華人民共和国(以下、中国)の二国による貿易問題のことです。最近毎日のようにマスコミで報道されています。 「貿易戦争」は基本的に関税という相手国からの輸入品にかけられる税金を手段として使います。「戦争」という言葉のニュアンスにあるような、武力を使用した殺戮行為(さつりくこうい)とは一線を画したものです。

米中貿易戦争の原因

「米中貿易戦争」の最大の原因は近年中国が劇的な経済発展を遂げ、世界第二位の経済大国になったことで、これまで世界唯一の超大国であったアメリカの脅威となってきたことです。 アメリカが感じつつある脅威には軍事的なものも含まれますが、「米中貿易戦争」という場合は主に経済問題に絞られます。 アメリカと中国との貿易収支は近年アメリカの膨大な赤字状態が続いており、アメリカはこれを問題にして中国に対する貿易戦争をしかけたのです。

米中貿易戦争の経緯

「米中貿易戦争」は具体的には追加関税措置という形で行われます。アメリカと中国が相互に相手国からの輸入品にかける関税を上乗せしていくのです。 今日までの「米中貿易戦争」は大きく三つの段階に分かれます。①追加関税措置発動前、②追加関税措置発動(貿易戦争開戦)と休戦、③休戦の解消と泥沼化の三つです。

追加関税措置発動前

そもそも「ドナルド・トランプ」アメリカ大統領は大統領選挙のときから中国との貿易不均衡問題を大きく取り上げていました。彼が唱える「アメリカファースト」の考え方に沿った主張です。 2017年複数回両国の首脳会談が行われ貿易不均衡を解消する基本的な方向性は確認されましたが、閣僚級による具体的な折衝では成果を上げることができず、交渉は進展しませんでした。 2018年に入ってアメリカは太陽光パネルや鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税措置を発表します。これは中国のみを狙い撃ちにしたものではなく、日本も含む多くの国を対象としたものでしたが、中国はこれに対する報復措置として追加関税措置の計画を発表します。

追加関税措置発動(貿易戦争開戦)と休戦

「米中貿易戦争」の引き金を直接引いたのはアメリカでした。アメリカは2018年7月に中国からの輸入品818品目に対して340億ドルの追加関税措置を発動したのです。中国はすぐさまこれに対抗して同規模の対米追加関税措置を発動しました。 その後もアメリカと中国のチキンレースは続き、2018年8月と9月にアメリカはそれぞれ160億ドルと2,000億ドルの対中追加関税措置を発動しました。中国もこれに対抗してそれぞれ160億ドルと600億ドルの対米追加関税措置を発動しました。 2018年10月「マイク・ペンス」アメリカ副大統領はハドソン研究所の講演で強く中国を非難し、株式市場も世界同時株安になりました。以後、アメリカと中国は断続的に交渉を続け、同年12月に両国の首脳会議が開かれ、90日間の期限付きでこれ以上の追加関税措置を発動しない旨の合意がなされました。

休戦の解消と泥沼化

2019年2月トランプ大統領は90日間の休戦期間の延長をさせることを発表しました。 しなしながら、その後もアメリカと中国の交渉は決裂が続き、ファーウェイ問題も含めて「米中貿易戦争」は泥沼化の様相を見せています。 中国はアメリカが中国に大きく依存しているレアアースを対米報復措置の武器として使うことを示唆し、アメリカがこれに対する反発を強めており、このままでは中国からの全ての輸入品に追加関税をかけるアメリカによる第四弾の追加関税措置発動が避けられない状態になりつつあります。

米中貿易戦争の日本への影響

今日世界経済は太いパイプでつながっています。「米中貿易戦争」がアメリカ・中国間の問題だけで済むわけがありません。 日本が被る最大の被害は自動車産業ではないかといわれています。中国における日本企業の現地生産の規模は自動車産業が最大です。「米中貿易戦争」の影響で中国経済が減速すれば日本の自動車産業は大きな影響を受けるでしょう。 また現在中国に向いているアメリカの矛先が日本に向けられ、日本からの自動車に追加関税がかけられると現在日本経済を牽引している自動車産業の国際競争力は大きく低下し、日本経済全体への影響は計り知れません。

米中貿易戦争の行方・今後

「米中貿易戦争」は今後ますます激化するのではないかというのが多くの識者の見方です。 現在起こっているアメリカと中国の追加関税措置の応酬は表面的な事象であって、底流には先端技術分野における両大国間の覇権争いがあります。次世代の産業を支える先端技術をどちらが握るのかによって世界の構図が決まってくるのです。 アメリカは大統領選挙を控えており、トランプ大統領は弱腰を見せるわけにはいきません。中国も天安門事件30周年を迎え政治的に敏感な時期になっており、「国家の核心的利益は断固として守り抜く」という中国共産党指導部の強硬姿勢は崩れそうもありません。

まとめ

現在進行形で刻々と動きつつある「米中貿易戦争」のポイントを解説しました。世界経済はつながっていますので、日本や世界経済全体への影響は計り知れないものがあります。 アメリカの矛先がいつ日本に向けられるかも余談を許しません。今後のアメリカや中国の出方を注視するとともに、日本自身も傍観者ではいられないことを認識する必要があります。


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