技術戦争面での影響

まず軍事問題に大きな影響のあるものの一つである技術戦争の側面を考えてみよう。 米国としては中国政府の自国企業―特にハイテク企業に対する産業補助金の制度を止めさせたい。だが中国としては、それは絶対に守りたい。 実際、第一段階合意文書に調印する時、読み上げられた習近平の手紙の中には、間接的ながらファーウェイの問題が触れられていたという。ファーウェイはT-MOBILEへの知的財産権侵害でも米国で訴えられているが、それだけではない。 ファーウェイが5Gで米国を上回るようになるまでに8兆円以上もの何らかの補助金を中国政府から受け取っていた。脱税の見逃しまであったという。このような相手に対して、アメリカ側が自由経済の原則を守っていれば、5G通信の問題等で勝てる筈がない。 このままでは、そのようなハイテク技術の問題で、10年以内に世界が中国に支配されてしまうーという報告もある程である。

中国を意識したアメリカの施作

また2012年以降のアメリカでの経済スパイ事件の8割に中国が関係しており、そこで司法省は特別部を作り財務省と協力して合法的な企業買収にも目を光らせることにしたーという発表が第一段階米中貿易合意が結ばれる数日前にあった。 前後して商務省が米国企業がファーウエイに半導体を売却することを今まで以上に厳しくする方針を発表。 他に同省が国家安全保障に関する製品輸出等を今まで以上に制限できる権限を与える方針をトランプ政権は打ち出している。 更にアメリカ政府は2月から対米投資委員会の権限を強化し国家安全保障に関わる問題に関する外国資本の投資に対する制限を強化する。これも中国を意識したものだと思う。

ファーウェイ製品の購入規制

国政府がファーウェイ製品購入規制を強化すれば同社と取引している多くのアメリカのハイテク企業の利潤が低下し彼らの強力による新しい強力な軍事力の整備の妨げになるという考え方もある。 そこで、このジレンマからの脱出するためアメリカ政府としては、信頼できる同盟国と協力して、2021年中には中国より優れた5Gを開発することも考慮している。 5G通信に対応した機器等が発達するまで、それくらいは掛かる。それまではファーウェイの製品が市場に出回っても、通信内容等を中国に傍受されたりする心配はないのではないか?―という考え方もある。 そして信頼できる同盟国の中には、もちろん日本も入っているのである。

5G通信技術でしのぎを削るアメリカと中国

このように特に5G通信技術の問題で、アメリカは世界の覇権を賭けて中国と本気で闘っている。 他に北朝鮮への資金提供を行った銀行への制裁や南シナ海問題もある。 第二段階米中貿易合意が結ばれるのは、やはり第二期トランプ政権の、それも後半になってからだと思われる。 その頃には日米で協力して、中国より優れた5Gシステムを開発しているかも知れない。 それとアメリカの、この問題への姿勢は、実は単独のものではない。アメリカ、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国の秘密情報機関の連合体で、全世界的に通信傍受を行なっているとも言われるFive Eyesの意思なのだ。それは実はオバマ政権から始まっていた。