米中貿易交渉の第一段階に合意した両国

1月15日、米中は貿易交渉の第一段階に合意した。その概要は、以下のようなものである。 1. 中国は今後2年間で2000億ドル以上の米国製品の購入を増加させる。 (これは米中貿易摩擦が始まる以前には年間1300億ドルだったことを考えると前例のない巨額なものと言える。しかも、この合意を守るとしたら中国は今後1年間で全体として6割、工業製品4割、農産物9割の買い増しが必要で、エネルギーに至っては何と五倍である。) 2. 中国は国内における知的財産権保護に法的措置を取りやすくする。 (そのために中国企業と取引している米国企業の知的財産権の侵害が起こった時の説明責任は中国企業にある) 3. 米国は1200億ドルの中国からの輸入品に掛けていた15%の関税を半減させるが、残り2500億ドルの中国からの輸入品に25%の関税を掛け続ける。 4. 相互に相手を不当な為替切り下げを行なっているとしてIMFに仲介を求める権利を留保する。

大統領選へ向けての不安

私見ではトランプ大統領が今回の合意の前に、中国への為替操作国指定を解除すると宣言していたので、大統領選挙に向けてアメリカ内の景気を維持するため、中国に大きな妥協を行なうのではないかと心配していたが、この4番目の合意条件で、その不安は払拭されたように思う。 それだけではなく中国が1ないし2の約束を破った場合、アメリカも関税を元に戻して報復することになっている。

第一段階の合意はアメリカ側の勝利か?

今回の合意は一応はアメリカ側の勝利と言って良いように思う。 それは米中貿易摩擦にも関わらず、アメリカのGDPは2018年に2.4%,2019年に2.1%。だが中国は同じ時期に6.9%から6.1%。 これは中国の今までの経済成長と、その影響も受けた中国国内のインフレ率を考えると、アメリカより中国の方が、大きな影響を受けたと考えて良い。 というか中国としては30年ぶりの低い経済成長率なのである。つまり中国が競り負けたのである。(更にコロナウイルス問題のお陰でGDP成長率が4%台にまで落ち込む可能性が示唆されている。)

アメリカ内では第二段階を望む声

そこでアメリカ内にも第二段階の合意を望む声も大きい。 未だにトランプ大統領が始めた貿易関税は8割がた残っている。それはコストの上昇により、米国の企業と消費者を苦しめてもいる。  しかし米中貿易合意の第二段階は非常に難しい。それは米中の軍事的対立が背景にあるためである。