狼狽(ろうばい)と「混乱」「錯乱」「惑乱」との違いを解説!

ビジネス用語

2019年4月27日

「狼狽(ろうばい)」は「慌てふためくこと」という意味ですが、「混乱」「錯乱」「惑乱」といった類語とのニュアンスの違いを知っていますか。本記事では、きちんと理解していないとわかりにくい細かな意味や使い方、「狼狽」の由来や英語表現について詳しく説明します。

「狼狽」(ろうばい)の要点

  • 意味:「慌てふためくこと」
  • 由来:「酉陽雑俎(ゆうようざっと)」「正字通(せいじつう)」
  • 例文:「事あるごとに狼狽することがないように、予め出来る限りの予測を立てておこう。」
  • 類語:「混乱」「錯乱」「惑乱」
  • 英語:「dismay」「panic」「confusion」「consternation」「flurry」

狼狽とは

狼狽とは

「狼狽」という言葉の正しい読み方や意味を理解できていますか。この言葉は頻繁に使う言葉ではありませんが、時々耳にする言葉なので正しい意味を知っておく必要があります。 この記事では、「狼狽」の類義語・英語表現・言葉の由来などを紹介していきます。まずこの見出しで読み方と正しい意味を理解しましょう。

狼狽の読みは(ろうばい)

「狼狽」の読み方は「ろうばい」です。それぞれの漢字の読み方は、「狼」は音読みで「ロウ」、訓読みで「おおかみ」です。一方、「狽」は音読みでは「バイ」と読み、訓読みの読み方はありません。 つまり、「狼狽」とはそれぞれの漢字の音読みを合わせた読み方です。「狽」は日常生活で使わない漢字なので、読み方をしっかりと覚えておきましょう。

狼狽の意味は「慌てふためくこと」

「狼狽」の意味は「慌てふためくこと」です。それぞれの漢字の意味は「狼」は動物の「おおかみ」や「あわてる」「うろたえる」という意味です。そして「狽」は狼の一種の架空の生き物のことです。 つまり、「狼狽」は「狼」の「あわてる」という意味が、そのまま「狼狽」という熟語の意味になっています。特殊な意味の漢字なのでしっかりと覚えておく必要があります。

狼狽の類語は「混乱・錯乱・惑乱」

狼狽の類語

「狼狽」は「あわてふためくこと」という意味でした。また読み方も日常生活で頻繁に使う読み方をする漢字ではないので、個別に覚える必要があります。 次は、「狼狽」の類義語に当たる「混乱」「錯乱」「惑乱」という3つの熟語を説明します。類似する意味と、ニュアンスの違いに着目して読み進めてみて下さい。

狼狽と混乱の違い

「狼狽」と「混乱」の違いは、心理的な内容を話しているのか物事の状況を話しているかです。 「混乱」とは、「物事が入り乱れて整理がつかないこと」「物事の整理がつけられず理解できないこと」という意味です。つまり「うろたえる」という精神的な状況に関する意味はありません。 「狼狽」してうろたえている状況では、「混乱」していると言えます。一方で「混乱」していても必ずしも「狼狽」しているとは言えません。

狼狽と錯乱の違い

「狼狽」と「錯乱」の違いは、「うろたえている」か「思考が乱れて混乱している」かです。 「錯乱」とは、「考えが入り乱れ、収集のつかない状態」をいいます。「狼狽」以上に精神的に混乱した状態、何も手につかないような状態を指します。また、「錯乱」は精神医学において、患者の症状として使われることもあります。 「狼狽」は日常的にも使いますが、「錯乱」はよほどの状況でない限り使わないため使い分けが必要です。

狼狽と惑乱の違い

「狼狽」と「惑乱(わくらん)」の違いは、「うろたえている」か「頭の中が混乱しているか」です。 「惑乱」の意味は「冷静な判断ができなくなるほど、精神が乱れていること」という意味です。「狼狽」の場合は「慌てふためいている」状態なので、少しニュアンスが異なります。 「混乱している」状態と「慌てている」状態は状況が似ていますが、どちらの意味を伝えたいのかによって使い分けが必要になります。

狼狽の四字熟語

狼狽の四字熟語

「狼狽」の類義語は「混乱」「錯乱」「惑乱」の3つで、それぞれ少しずつニュアンスが異なりました。 次は、「狼狽」を使った四字熟語を2つ紹介します。それぞれどんな意味なのかを確認すると共に、「狼狽」という言葉がどのように四字熟語の意味に反映されているかを確認して下さい。

周章狼狽

1つ目の四字熟語は「周章狼狽(しゅうしょうろうばい)」です。 「周章狼狽」の意味は「非常に慌てふためくこと」です。つまり、「狼狽」の「慌てふためく」という意味が強調された四字熟語です。 「周章」という言葉に「慌てふためいて騒ぐこと」という意味があることからも理解できます。「狼狽」の場合には「慌てる」だけでしたが、「周章」が付くことで「騒ぐ」という意味が付け加えられます。

狼狽事故

2つ目の四字熟語は「狼狽事故(ろうばいじこ)」です。 「狼狽事故」とは「慌てることで適切な行動ができずに引き起こす事故」のことです。見通しが悪い曲がり角で急に現れた自転車に慌てたり、コンビニの駐車場でアクセルとブレーキを踏み間違えたりすることで引き起こされる事故のことを言います。 「狼狽事故」の場合は意味からも分かる通り、「狼狽(うろたえる)」という意味がそのまま使われています。

狼狽の英語

狼狽の英語

「狼狽」を使う四字熟語として、「周章狼狽」と「狼狽事故」の2つを紹介しましたが、どちらも「慌てふためくこと」という意味がそのまま使われていました。 ここからは「狼狽」に当たる英語表現を紹介します。全部で5つ紹介しますが、どんなニュアンスの言葉なのかをそれぞれ確認していきましょう。

dismay

1つ目の英単語は「dismay」です。

Sound Listen the english sentence

I was filled with dismay by the sudden report.

突然の報告にひどくうろたえた。

「dismay」は「慌てふためく」という意味なので、「狼狽」という意味がピッタリ当てはまります。単純に受動態として使うか、例文のように「be動詞+filled with dismay」という形で「狼狽する」となります。

panic

2つ目の英単語は「panic」です。

Sound Listen the english sentence

I was panicked by a sudden tax audit.

突然の税務調査で慌てた。

「panic」は「激しく恐れる」「自暴自棄になっている」という意味なので、「狼狽」とはやや意味がずれます。「panic」は「〜を慌てさせる」という意味なので「慌てる」という時は、例文のように受動態にして使います。

confusion

3つ目の単語は「confusion」です。

Sound Listen the english sentence

She is in confusion by the high demand.

彼女は要求の多さに混乱している。

「confusion」は「狼狽」とも訳せますが、どちらかというと「混乱」「困惑」が正しい訳になります。「混乱している」という時は、例文のように「in confusion」か、「confuse」という動詞を受動態にします。

consternation

4つ目の英単語は「consternation」です。

Sound Listen the english sentence

The whole world was in consternation at the sudden financial crisis.

突然の金融恐慌に世界中が驚いた。

「consternation」は、「(ぼう然としてしまうような)大きな驚き」「仰天すること」という意味なので、「狼狽」よりは「びっくりすること」に近いニュアンスです。

flurry

5つ目の英単語は「flurry」です。

Sound Listen the english sentence

The stock market was flurried temporarily due to unexpected poor performance.

予想外の業績不振で株式市場が一時混乱した。

「flurry」の訳は「突然の動揺・狼狽」という意味です。「狼狽」と訳せますが、「dismay」よりも「瞬発的な驚き」というニュアンスが強くなります

狼狽の語源は2つの説がある

狼狽の語源

「狼狽」という意味に近い英単語は5つありましたが、それぞれ少しずつニュアンスが異なるので、正しく使い分けられるように区別しておきましょう。 次は、「狼狽」という言葉の由来を2つ紹介します。この由来を知ることで「狼狽」という言葉の意味が理解しやすくなりますので、ぜひ読んでください。

「酉陽雑俎」に由来

1つ目の由来は随筆の「酉陽雑俎(ゆうようざっと)」からです。「酉陽雑俎」は中国の唐の時代の怪談集ですが、その中で「狽」という架空の生き物にが紹介されています。 「狼」は普通の「おおかみ」のことですが、「狽」は前足が短く後ろ足が長い生き物とされています。「狽」は「狼」の後ろにつくことで共に行動していましたが、一度離れると移動できずに慌てることから、「慌てふためく」という意味が付いたとされています。

「正字通」に由来

2つ目の由来は中国の明の時代の「正字通(せいじつう)」という書物からです。こちらの説では「狼」と「狽」というそれぞれの架空の生き物から「狼狽」の意味が説明されています。 「正字通」では「狼」は前足が長く後ろが短い、「狽」は前足が短く後ろ足が長い生き物です。常に2つの生き物がくっついて行動しているものの、一度離れると移動できなくなり慌てふためくことから、「狼狽」という言葉が誕生したとされています。

「狼狽」の様々な使い方とその例文

使い方と例文

「狼狽」の意味の由来は2つありましたが、どちらも架空の生き物が突然の状況変化によって慌てふためくことから、「慌てふためく」という意味が付けられたことが分かります。 最後に、「狼狽」の使い方や「狼狽」を使った慣用表現を4つ紹介して終わります。それぞれの言葉にどんな意味があるか確認していきましょう。

狼狽売り

1つ目は「狼狽売り」という表現です。

例文

  • 市場予測と真逆の大統領発言で、マーケットが株式の狼狽売りを始めた。

「狼狽売り」とは、株式や為替取引などで市場参加者の予測に反するニュースが流れたり、想定外の出来事が起きた時に、市場参加者が保有している株式や通貨を慌てて売ることです。マーケットで「狼狽売り」が発生した時は、多くの市場参加者がリスクを抑えようとするため株価や為替レートが急変します。

狼狽する

2つ目は「狼狽する」という表現です。

例文

  • 事あるごとに狼狽することがないように、予め出来る限りの予測を立てておこう。

「狼狽する」は、「狼狽」の基本的な使い方で、この記事で最初に紹介した「慌てふためく」という意味です。例文では、突然の出来事が起こる度に慌ててしまうことが無いように、行動を始める前にできる限りの予測を立てようとしています。

狼狽相

3つ目は「狼狽相」という表現ですが、これは日本語ではなく中国で使われる表現です。そのため正しい表記は「狼狈相」で、「狽」という漢字が中国の字体に変わります。 中国語で「相」は「見た目」「表情」という意味があります。つまり「狼狈相」とは「慌てふためいた表情」「驚いた表情」という意味になります。中国語を使う機会がある方はこの表現も覚えておくと良いです。

狼狽える(うろたえる)

最後の表現は「狼狽える」ですが、これは「うろたえる」と読みます。

例文

  • 不当な申し出にもうろたえること無く、毅然と対応した。

「狼狽える」の「うろたえる」という読み方は、それぞれの漢字の読みから導かれるものではなく、当て字なので特別に覚えておく必要があります。ただし、読み方は特殊でも意味はこれまでに説明したとおりで、読み方の通り「うろたえる」「慌てふためく」という意味です。

まとめ

まとめ

「狼狽」は日常生活で使わない「狽」という言葉を使っていたり、それぞれの漢字から意味を導き出せる言葉ではないので、特別に読み方や意味を記憶しておく必要があります。 「慌てふためく」という意味を理解しておけば簡単に使いこなすことができるので、この意味を忘れないようにしておきましょう。


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