ぶどう酒を飲んだ17名の女性が中毒症状を訴え5名が死亡した

ぶどう酒を飲んだ17名の女性は揃って、急性の中毒症状を示しました。その症状は、流涙やかすみ目・流涎・発汗・などに止まりません。咳や嘔吐の他、不整脈・心拍数の低下・けいれん発作などもあったようです。 医師の手当てもむなしく、症状を訴えた17名のうち5名が亡くなってしまいました。12名は命を取り留めたものの、回復には時間を要したと想像できます。

ぶどう酒には農薬であるニッカリンが混入していた

ぶどう酒が原因であると考えた警察は、押収して検査を行いました。その結果、農薬として使われるニッカリンTが混入されていたことがわかったのです。 ニッカリンTとは、有機リン系の農薬を指します。害虫を駆除するために使われていました。現在では毒性が強いことを理由に、製造も使用も禁止されています。有機リン系の農薬を摂取すると、呼吸困難や筋力低下が起こることが知られています。

奥西勝が逮捕される

ぶどう酒にニッカリンTが混入されていたことがわかった後、警察はそれを購入あるいは搬入した人物を探し始めました。そして捜査線上に3名の男性が浮かんだのです。 その3名は全員、警察の取り調べを受けました。そして全員が否認します。しかし容疑者3名の中に、自分の妻と愛人が被害になっている男がいました。それが奥西勝容疑者です。 奥容勝疑者には犯行動機があると考えた警察は徹底的に取り調べを行い、1961年4月3日に奥西勝容疑者から自供を引き出し逮捕しました。

名張毒ぶどう酒事件の裁判と判決

1961年4月24日に奥西勝容疑者は、計画殺人犯として起訴されました。しかし、逮捕後に行われた取り調べて犯行を否認したことから裁判は二転三転します。奥西勝容疑者は「自白を強要された」と主張し、証拠の鑑定結果の信ぴょう性が問われたからです。 ここでは裁判が結審するまでの流れと判決について、解説します。