ガイドの判断の遅さ

「トムラウシ山遭難事故」では悪天候の中を出発したことだけでなく、ガイドの判断の遅さも被害を拡大させています。 2009年7月16日10時30分頃、68歳の女性が低体温症によって歩行困難に陥ります。ガイドが対応に追われている間、他のツアー客は2時間近く待機させられたのです。その結果として女性が「寒い」と叫び声を上げたり、嘔吐する人も出始めます。 その様子を目の当たりにした男性客がガイドのリーダーに対し「これは遭難だ。救援を要請しろ」と声を荒げて初めて、ガイドたちが事態の深刻さに気付きました。その後下山したガイドが警察に通報できたのは、同日15時55分のことでした。

客とガイドの軽装

「トムラウシ山遭難事故」で低体温症による死亡者が多かった原因の一つに、ツアー客とガイドが登山にふさわしくない軽装だったことがあげられます。 道外から参加したツアー客は雨具の対策はしていたものの、夏山登山だったこともあり防寒対策が十分ではありませんでした。台風が通過するとたとえ夏であっても冬のような気候となり、積雪があったり朝方が厳しく冷え込むことが周知されていなかったのです。 ヒサゴ沼避難小屋を出発する時点で着用すべき防寒着についてレクチャーがあれば、助かった人がいたかもしれません。

安全より利益を追求したアミューズトラベル

登山ツアーは様々な旅行会社が企画・運営していますが、交通機関や宿泊先の確保などの問題があり予備日を設けないケースが少なくありません。 アミューズトラベルはツアー募集の段階では「安全優先」をうたっていたものの、ツアーガイドに対しては利益優先のプレッシャーをかけていたとされています。 「トムラウシ山遭難事故」が起こった2009年7月16日は、アミューズトラベルの別のツアー客がヒサゴ沼避難小屋に宿泊する予定となっていました。そのためガイドのリーダーは、悪天候にも関わらず炊事道具やテントをすべて置いて出発したのです。

トムラウシ山遭難事故を受けて

「トムラウシ山遭難事故」の救助活動が終了したのは、事故発生から2日後の2009年7月18日のことです。これ以後、夏の山岳遭難事故としては異例の死亡者が出たことに対する責任追及が始まりました。 ここでは「トムラウシ山遭難事故」を受けて、ツアーを主催したアミューズトラベルがどうなったかについて詳述します。