生存者はバラバラに自力で下山

2009年7月16日5時30分にガイドとツアー客は、予定より30分遅れてヒサゴ沼避難小屋を出発しました。その時点で雨と風は強かったのですが、ガイドがラジオで聞いた「昼過ぎから晴れる」という予報を信じて判断したのです。 しかし同日10時過ぎに山頂下の北沼に到着した時には、水が沼からあふれて幅2mほどの川となっており、ツアー客はガイドに助けてもらいながら渡らざるをえない状況でした。そしてツアー客は全員が渡り切るまで吹きさらしの中で待たなければならず、ずぶ濡れになったのです。 これをきっかけにツアー客に低体温症を発症する人が続出し、ガイドが対応に追われるようになります。最終的に生存者は自分の判断で、バラバラに下山したのです。

男女合わせて8名の登山客とガイドが低体温症で死亡

「トムラウシ山遭難事故」ではガイド1名とツアー客の男女7名、計8名が低体温症で亡くなっています。亡くなった方は59歳の女性を除くと、ガイドも含めて60代の方ばかりでした。 このツアーの参加者は、広島・中部・仙台の各空港から新千歳空港を経て現地入りしています。また4名のツアーガイドも、旭川空港で初めて顔を合わせるという寄せ集めでした。 そのため台風が近づいていても、「きっと弱まるに違いない」という思い込みが働いたことが予想できます。

トムラウシ山遭難事故の原因

(画像:Unsplash

「トムラウシ山遭難事故」の原因は、山岳ガイドのリーダーによる判断ミスです。台風が接近していることは理解しつつも、「昼からは晴れる」という予報と「北海道に近づくまで台風は弱まる」という思い込みにより、悪天候の中を出発しました。 ここでは「トムラウシ山遭難事故」が起こった原因について、詳述します。

悪天候の中ツアーを登山を強行

ツアー2日目である2009年7月15日は、朝から大雨が降っていました。風がなかったため体感温度こそ下がらなかったものの、全員が雨具を着用しての縦走です。同日15時には予定より早く、ヒサゴ沼避難小屋しています。 この時点でツアー客に体調不良者はいませんでしたが、小屋が雨漏りするうえにスペースが十分でなく濡れた寝袋にくるまって一夜を過ごすことになりました。 翌16日の出発は予定を30分繰り下げて5時30分にしたものの、雨と風は強いままです。ガイドのリーダーはラジオで天気予報を聞き、昼からは天候が回復すると判断し登山を強行しました。

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