北方ジャーナル事件は表現の自由と名誉権が争点となった事件。判決や事件の概要をわかりやすく解説。

経済

2019年10月21日

北方ジャーナル事件は北海道知事選挙の立候補者の1人を批判したことで雑誌の販売差し止めにまで至った事件です。表現の自由と名誉権が争われました。今回ビズキャリonlineでは北方ジャーナル事件の全貌を、判決や類似事件まで、詳しく解説していきます。

1分でわかる北方ジャーナル事件

北方ジャーナル事件とは

  • 出版物の出版を事前に差し止め
  • 表現の自由と人格権・名誉権の問題に発展
  • その後の判例に大きく影響

1979年に起こった「北方ジャーナル事件」は、出版物の出版が事前に差し止められたことに対し、憲法で定められている「表現の自由」と「人格権・名誉権」が真っ向から対立した事件です。 その後の判例にも大きく影響しました。

北方ジャーナル事件の概要

雑誌「北方ジャーナル」は、北海道知事選に出馬予定であった元旭川市長について、知事として不適格だとする醜聞記事を掲載しようとしていたところ、札幌地裁から販売差し止めの仮処分が下りました。 この仮処分に対して出版社は猛反発しますが、どういった経緯で訴訟に発展していくのか、「北方ジャーナル事件」の概要について解説します。

北海道知事選挙の立候補者の1人を批判する記事が北方ジャーナルで掲載された

雑誌「北方ジャーナル」は北海道を拠点とする月刊誌であり、主に政治・経済・社会問題を取り上げていますが反権力的な報道スタイルを貫くことで知られています。 1979年2月23日発売予定の4月号では、この年の北海道知事選の立候補者である元旭川市長の醜聞記事を掲載すべく準備を進めていました。 その記事には、この候補者が旭川市長時代に引き起こしたとされる醜聞の数々が書き連ねられており、知事としての適性がないと結論付けられていたのです。

批判された人物は雑誌の販売差し止めを請求した

「北方ジャーナル」に批判された札幌県知事立候補者は、出版前に自身の醜聞記事「ある権力主義者の誘惑」の存在を知ります。 その内容は、一方的に札幌県知事立候補者をバッシングするものであり、「ハッタリ」「カンニング」「インチキ」「ゴキブリ」といった品のない言葉が羅列されており許されるものではありませんでした。 そこで、札幌県知事立候補者は名誉棄損にあたるとして、1979年2月16日に札幌地裁に「北方ジャーナル4月号」の販売差し止めを求める仮処分の申請を行います。

裁判の判決で雑誌の販売差し止めが認められた

札幌県知事立候補予定者から、販売差し止めを求める仮処分の申請があったのは雑誌が発売されるわずか1週間前のことでした。 販売前の出版物に対して販売差し止めを求められることは極めて異例ですが、札幌地裁は「北方ジャーナル4月号」が出版されることによって、申請者の名誉が著しく棄損され損害が生じる恐れがあるとして申請当日に承認します。 しかし、北方ジャーナル側は、札幌地裁の判断は検閲を認めるものであり憲法第21条違反だとして強く反発しました。

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