慰安婦問題をめぐる日韓合意

「日韓合意」は慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を目指して、2015年12月28日に岸田文雄外務大臣と尹炳世外交部長官の共同で発表された国家間の合意です。 日本と韓国はかねてから従軍慰安婦に対する認識に齟齬がありました。1965年の「日韓基本条約」で解決済みとする日本側と、同条約で解決していないとする韓国側との対立です。 「日韓合意」には日本首相を代表する安倍晋三首相の謝罪と、日本政府供出の10億円を元に「和解・癒やし財団」の設立が盛り込まれ、これを合意によって慰安婦問題の解決となったはずでした。 しかし2018年11月、文在寅政権下の韓国政府が合意が不十分だったとして一方的に「和解・癒やし財団」を解散させたことで、「日韓合意」は事実上形骸化しました。

2016年3月に提訴された裁判

今回、韓国憲法裁判所に却下された元慰安婦らの訴えは、2016年3月に提訴されました。元慰安婦やその遺族によって出された「日韓合意」違憲の訴えの主旨は、おおよそ以下の3点です。

訴えの主旨

  • 元慰安婦が日本政府へ個別に賠償を求める権利を失った
  • 韓国が保証すべき元慰安婦の尊厳、財産権が侵害された
  • 合意内容が事前事後含め当事者に周知徹底されなかった

韓国憲法裁判所は、「日韓合意」を同裁判所が扱うべき審判請求の対象ではないとして、元慰安婦らの訴えを退けました。

韓国憲法裁判所は日韓合意の法的拘束力を否定

韓国憲法裁判所は、1978年に大法院(日本の最高裁に相当する裁判所)とは異なる司法機関として設立されました。その目的は名称通り、憲法解釈を必要とする裁判や大統領の責任追及など、高度な政治的判断が要求される専門の裁判所となっています。 韓国憲法裁判所は「日韓合意」を国家間の公的約束であるとしつつ、韓国憲法で必要とされる条約締結要綱を満たしていないとして、「日韓合意」の法的拘束力については否定的立場です。 同時に「日韓合意」が条約ではないことを理由として、元慰安婦らの訴えを却下しました。