裁判所が悩んだ違憲と合憲

裁判では犯人の女性が近親相姦を長年強いられた事情から、有罪は免れないとしても、基本的に刑罰を軽減する方向で調整されました。しかし刑法200条が死刑か無期懲役しかないため、軽減は法律に反します。地裁と高裁で以下のように判断が分かれました。 ・宇都宮地方裁判所は刑法200条を違憲と判断。情状酌量の上で懲役の免除 ・東京高等裁判所は合憲と判断。情状酌量の上で懲役3年6月の実刑

最高裁は違憲と判断し執行猶予付きの判決

裁判は最高裁にまでもつれ込みましたが、最終的に大法廷(最高裁で法律の違憲を審理する組織)は刑法200条を違憲と判断しました。判決は刑法199条の殺人罪に則り、犯人の女性には懲役2年6月、執行猶予3年が言い渡されました。 ただし大法廷が違憲としたのは、刑法200条の刑罰が2択だった点です。尊属殺人の規定は否定されなかったため、1995年の刑法改正まで刑法200条は存在しました。 しかし違憲判定後、法務省は原則として尊属殺人も刑法199条で扱うよう指示しているので、栃木実父殺し事件裁判によって実質的に刑法200条はなくなったと言えます。