モラルハザードと様々な業界

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ここまで「モラルハザード」の基本的なことを見てきました。「逆選択」とか「ゲーム理論」とか奥の深い考え方との関係なども理解できたでしょうか。 ここからは、様々な業界に焦点を当てて、さらに詳しく「モラルハザード」を解説していきます。業界としては「医療」「IT」「バイオ分の三つを取り上げます。

医療でのモラルハザード

医療関係で「モラルハザード」が起きやすいのは医療保険と投薬関係です。 医療保険に関しては少し前述しましたが、医療保険に加入することによってそれまで気を付けていた健康維持活動が停滞してしまうことがあります。どうせ保険金が出るのだから少しくらい病院にお世話になっても大丈夫と、禁煙を止めたり暴飲暴食にふけったりすることが起こりえます。 医者による検査や投薬は情報の非対称性が明確に現れる場面です。患者は医者の言うことを基本的には全面的に信じるしかありません。結果、本来であれば必要不可欠でない過剰な検査や投薬、ジェネリック医薬品の不使用などが現実には起こりえます。

IT業界でのモラルハザード

近年IT業界の「モラルハザード」が増加傾向にあるようです。「モラルハザード」の主体は会社であったり、システムエンジニアだったりします。 これまで「モラルハザード」が話題になる業界は、どちらかといえば規制や法律に守られたいわゆる「親方日の丸」体質の企業などでした。甘えが慢性的になり「モラルハザード」を起こしていたのです。 IT業界は新しい分野ですからそのような体質はないはずですが、需要と供給の関係があるようです。幾らでも顧客ニーズがあるのでいい加減な仕事をしても仕事が付いてくることによる甘えや、システムエンジニアに対する求人が多いことから生じる現在の仕事へのいい加減な姿勢などの「モラルハザード」が起こっているようです。

バイトでのモラルハザード

コンビニや居酒屋チェーンにおいて、アルバイトによる常軌を逸した動画がYouTubeなどの動画投稿サイトにアップされる事件が相次ぎました。見るに堪えないものも多数ありましたね。 ここでも情報の非対称性が問題の根源にあります。人件費削減の観点から店をアルバイト任せにしてしまって、社員の監督が行き届いていないのです。アルバイトは監督者がいないことをよいことに、店でやり放題という状況が発生したのです。 インターネットにおける匿名性も「モラルハザード」を一層助長しています。